草の花

草の花 (新潮文庫)

草の花 (新潮文庫)

相当前に読んだものの再読。
舞台がサナトリウムであることと、登場人物の哲学っぽい語りが手伝って、ちょっと取っつきにくい話かなと思ったのですが、意外に読みやすかったです。
物語は、4つの章に分かれていて、その構成から、私は何故だか夏目漱石の「こころ」を連想しながら読みました。
ボートで流される場面が、良い意味でも悪い意味でも印象的だなあ。


百日紅の木を見ると、この話を思い出します。


福永武彦池澤夏樹の実父であることをついつい忘れがちになります。作家としての違いはたくさんあるのだけれど、一人称の男性がどこか情けないロマンティストであるところが共通するのかな。