花を運ぶ妹

花を運ぶ妹

花を運ぶ妹

スティル・ライフを読み、日本科学未来館カミオカンデ光電子増倍管を見て以来、池澤夏樹作品を無性に読み返したくなっています*1

大事なのは、本当にぎりぎりという事態になった時にその事態を受け入れること。抵抗する力を抜いて、ことの流れに身を任せること。その先に世界は開けている。

初めて読んだ時から、この一文が印象に残っています。
窮地に陥る兄と、それを助けようとする妹。「抵抗する力を抜いて、ことの流れに身を任せる」ことで、物事が良い方向に向かう展開は出来すぎな感じもあるけれども。
文章から、バリの熱気、湿度の高い空気、むせかえるほど強い「何か」のにおい、肌触りなどが伝わってきて、息苦しくなってくる。でも面白いので夢中に読み進めてしまう、そんな作品です。


読んでいると無性にバリに行きたくなるから困る。

*1:カミオカンデチェレンコフ光→そういえばスティル・ライフでもチェレンコフ光のエピソードあったな、という連想からだと思う