ダイアログ・イン・ザ・ダーク
「見えない。が、見える」
ダイアログ・イン・ザ・ダーク 2007 東京
学校の放課後〜冒険編〜
体験してきました。
感想など思いついたものをダラダラ書きたいと思います。
今回、珍しく長文ですが、読んで頂けたら幸いです・・・。
※以後、ネタばれ注意です。これから参加予定の方は読まないほうが良いかも。。。
246号沿いにある「旧赤坂小学校」は、驚くほどこじんまりとした小学校でした。
コンクリートに覆われた校庭からは、高層ビルに囲まれた四角く狭い空が見えるだけ。「初めて行く都会の小学校で、放課後の冒険」って感じで、ドキドキします。
受付で身分証明証を提示して、ロッカーに荷物を預け*1、待機。
ロビーで待機している人たちが、今回同じくらやみで同じ時間を共有する人なんだろうな、と思うと不思議な気持ちになる。
時間になって、入り口に集合。スタッフの方から説明と注意事項を受ける。
同じユニットとして行動をともにする8名が顔合わせ。ここでは自己紹介しないで会釈のみの挨拶。
薄暗い階段を登り、薄暗い小部屋に到着。
ここで初めてアテンド*2を紹介される。
薄暗いためお互いの顔は分からない、声のみの自己紹介が面白い。
明かりをさらに落とし、カーテンを潜り抜け、スタート。
手のひらを目の前にかざしてみても分からない。鼻の先も見えないほどまっくら。
どれだけの広さがあって、自分がどこにいるのかさえ分からない。この空間に一人取り残されたらどうなるんだろうと考えて、不安になる。
「ここは体育館です。声のする方に来てください、いろいろなものがありますから、手探りで探してみてください」
穏やかな声で少しだけ不安は解消された。
しゃがんで床を触る。さらさらとした木の手触り。懐かしい体育館の床だ。
「跳び箱がある」
誰かの声のする方向に進む。慣れない暗闇で何度も人にぶつかる。いろんなところで「ごめんなさい」って声が聞こえる。みんなまだこの空間に慣れてないみたい。
跳び箱に触る。久しぶりに触った懐かしい感触。
見えないけど形が思い浮かぶのが不思議。
「マットがある!」「どこ?」「もっと右、ここ」
ポンポンとマットを叩く音。
「フラフープがある!」
音のする方向に恐る恐る向かう。声で誘導してもらいながら、なんとかマットを見つける。ざらついた布の感触。これも懐かしい。誰かからフラフープを受け取る。見えないけど、見える気がする。たぶんピンクと白のストライプ模様だ。
声を頼りにゆっくりと進んでいく。
足元の感触が土に変わり、乾いた枯れ葉の上を進む。学校の裏山って感じ。楽しい。
気がついたら、当初感じていたくらやみへの不安はすっかり消えていた。
見えなくても、声が導くところを目指せばいい。分からなくなったときは呼びかければ、誰かが声をかけて導いてくれる。
何か変化に気付いたら、声を出してみんなに知らせる。段差がある、とか。右に壁がある、とか。木が生えてる、とか。
お互いに助け合いながら先に進む。すぐ近くに感じる気配や声が、あたたかく心地良い。
途中で白杖を借りて、進み続ける。
路面電車のレールがある表通り、学校の螺旋階段、音楽室、美術室。
手探りで何かを見つけては、声に出して報告し、共有する。この頃には暗闇にだいぶ慣れていて、誰かにぶつかったりすることもなくなっている。
長い階段と廊下を進み、畳敷きの用務員室に靴を脱いで上がる。
ちゃぶ台を囲んでジュースをいただく。
とても穏やかな雰囲気で、自然と会話が始まる。いろんな感想が聞けて面白い。
「何分くらいくらやみにいると思いますか?」
「30分くらいかなあ」「20分くらいだと思う」「20分だよ」
正解を聞いて驚く。1時間もこのまっくらな世界にいたんだ。
「面白いから、時間がたつのが早いね」
「そういえば、子どもの頃も、こんな時間感覚だった気がする」
まっくらな中靴を履いて、くらやみを抜け出す。
今まで感じたことのないような感覚を体験できて、とても充実した時間を過ごすことができた。参加できて良かった。
もし、何かに迷って、自分の立つ場所を見失いそうになったら、目を閉じて辺りの音に耳をすますのもいいかもしれないと思った。