偶然の祝福

偶然の祝福 (角川文庫)

偶然の祝福 (角川文庫)

学生の頃、人に勧められて「薬指の標本」を読んだときのことを思い出しました。
ストーリーよりも、静謐で美しい文章から受ける印象が、心の中に蓄積されていくような気分。得体の知れない不安で胸がいっぱいになる感じ。うまく表現できませんが。
薬指の標本」を読んで、私は女性の作家を恐れるようになりました。他に勧められていた「妊娠カレンダー」は、さらに不安になりそうで読むことが出来なかったし。


「偶然の祝福」には、あの頃に感じた感覚に近いものを感じましたが、面白く読めるようになったのは、私が年を取ったからなのかな。
「失踪者たちの王国」「エーデルワイス」「時計工場」が特に好き。
今なら「妊娠カレンダー」も読めるかな。読んでみよう。