地下展


http://www.miraikan.jst.go.jp/j/sp/underground/index.html


地球最後のフロンティア、「地下世界」を、科学・哲学・神話等の様々な視点から見た、フロンティア精神とロマン溢れる博物展。
発泡スチロールで構成された空間*1を進んで行き、地球内部まで到達する構造が、斬新で面白い。


展示を見て、「科学者は、もしかしたら皆ロマンチストなのかもしれない」と思いました*2。そうじゃないと、こんなふうに未知のものについて考えたり、謎を追い求めたり、新しい世界を切り開いて前進したりは出来ないと思う。
何かを研究する人になりたいな、なれるかな?*3 って思っていた子どもの頃を思い出した。


以下、ダラダラと感想というかネタバレを綴りたいと思います。


1.冒険のはじまり


入場して、まず目に飛び込んでくる床に映された映像。
ゆっくり回りながら視点が下がっていく。空から見下ろした、道路の真ん中のマンホール。それを囲む人々。蓋を開け、地下世界に潜っていく。遠ざかった空を見上げる。


見ていて目が回るのと同時に、これから「地下展」の地下世界を冒険するんだなとワクワクする。物語の導入としてはいい感じ。



2.足下からはじまる地下[都市の地下利用]


日比谷の共同溝とか、首都圏外郭放水路とか、工事中の首都高中央環状新宿線とか。
憧れの地下施設をぐんぐん進む&ぐんぐん潜る映像が素晴らくかっこよすぎて、その場を離れられなくなってしまった。
大江戸線のトンネルをずんずん進む映像も面白かった。


これ、欲しい。



3.地下の心がまえ


地下に関する印象深い、哲学っぽい文章などの紹介。
日比谷共同溝の現場事務所に掲げられている「地底体験心得五箇条*4」と、ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」の一節が気になった。

地底旅行 (岩波文庫)

地底旅行 (岩波文庫)

決めた。これは絶対読む。海底二万里もまだ積読中だけど・・・。



4.タイム・カプセル[TimeCapsuleEXPO'70プロジェクト]


大阪万博の時に埋めた、5,000年眠り続けるタイムカプセル。
5,000年後にこのメッセージを受け取れる存在がいたらいいなと思いつつ、やっぱりこの企画考えた人はロマンチストなのだろうな、と思った。



5.ノアの方舟[北極種子保存庫プロジェクト]


穀物の種を北極地下に保管する、ノルウェーを中心としたプロジェクトの展示。


食糧危機等の「何かあったとき」にここの種子を活用するってことなんだろうけど、私は何故か北斗の拳的世界観*5を想像してしまい、モヒカンな悪漢たちが荒野で暴れまくるひでぶであべしな世界で、北極までのアクセス方法や、種子の取出し方法が分からず途方に暮れるのだろうな。
などとぼんやり夢のないことを考えてしまった。



6.地中の宝[地下資源]


地球を構成する元素の割合とか、めずらしい鉱物とか。あまり難しいことは考えず、鉱物の美しさを鑑賞。



7.地下にゆだねる[放射性廃棄物地層処分]


高レベルの放射性廃棄物の処分方法の展示。
放射性物質に対して「とにかく再利用し続ける」方法と「無理に再利用しないで時間をかけてゆっくり安定物質になるのを待つ」方法があるそうですが、ここでの展示は後者だそうです。


放射性廃棄物の処分方法は、ガラスで固化し、地下深くに処分する。
これだけ聞くと単純な処分方法にも感じるのですが・・・・

ガラス固化したものは、数年間発熱し続けるので放置する。
発熱が落ちついても、まだ危ないのでさらに30年ほど放置する。
最終的には地層処分して、安定物質になるまで放置する。

という、かなり気の長い処分方法なんだそうです。
この処理を考えた人は、たぶん地層処分する場にすら立ち会えないんだろうな。と思うくらい気の長い処分方法。
「地下に」というより「未来に」押し付けるゆだねる処理方法だと思った。



8.氷の記憶をほりおこす[氷床コア]


南極の氷床下3,000メートルの氷から、地球の過去を読み解くという展示。
氷の溶ける音を聞きながら、「そういえばバブル期に南極の氷で酒を飲むって話、あったよね」とかそんな話をしていた。
小説か映画かドラマにもそんなシーンがあったと思うのだけど、誰の作品かが思い出せず。



9.誰も見たことのない湖[南極・ボストーク湖]


南極の氷床下3,700メートル下に、地球最大の地底湖があるという展示。
そこには様々な可能性があって、是非研究してみたいんだけど、環境汚染の危険性があるから手を出せないそうな。
誰も見たことのない湖は、誰も見てはいけない湖だそうです。


何故だかドラえもんを思い出した。



10.生命の樹[全生物の系統関係図]
11.全てはひとつに[コモノート(共通祖先)]
12.地下住人の肖像[地下生物圏]
13.生命がはじまる場所[生命起源「地下説」]


生物関連の展示群。興味の薄い分野だからか、正直よく分からなかった・・・。
でも、生命の樹の構造イメージ展示が、白くてふわふわできれいだった。



14.闇の歴史[巨大隕石衝突]
15.地球が凍った日[スノーボールアース]

6,500万年前、巨大隕石の落下により、地球上76%の生物が絶滅。
過去3度地球は完全に氷でおおわれ、ほとんどの生物が死滅。

なんか生命って絶滅ばかりしている気がする。


地球が凍りついたのは、マントルの動きに関連するってのが面白いと思った。



16.地の底〜中心へと行き着く[地球内部のしくみ]
17.地下世界のはじまりと終わり[地球の起源]


マントルやコアについての説明&地球の始まりを考える展示。
誰も見たことないものの起源、質量、構成する物質等を解析するって、どうやるんだろうと思った。
この辺まで展示を見ると、もう許容範囲オーバーで理解するのに大変だった。



18.46億年の時計[地球システム]


最後に、地球上のあらゆる要素を時計にしたら?っていう展示。
操作方法が良く分からなかった・・・。



地下展。とにかく楽しくて、興味深いすてきな博物展でした。
写真撮っても良いことを知っていれば、カメラ持って見学したのにな。残念。

*1:入り口付近は、ブロック塀のような規則正しく積み上げた構造、奥に進むほど洞窟っぽくなっていく

*2:間違っていたらゴメンナサイ。

*3:なりたいけれど、たりないな。と続き、今に至る。

*4:「地底とは地球の体内だ、内臓の中にお邪魔するという謙虚さで望め。」「地底に下りたら目を閉じろ。そこにある闇と自分の中の暗黒を見つめよ。」「想像を超えた時間の堆積がその空間に充満している事を想像せよ。」「地底から出たら空を見上げろ。その広がりを体いっぱいに吸って暗闇をはきだせ。」等。詩的でロマンの固まりの言葉たち。

*5:穀物の種を求めて彷徨うおじいさんを思い出したから?