キップをなくして

キップをなくして

キップをなくして

「キップをなくしたら駅から出られないの」


キップをなくしてしまったために、「駅の子」としての生活をはじめる男の子を主人公とした、ちょっと不思議な鉄道ファンタジー小説
最初から最後まで楽しく読みながら、私は子どもの頃、電車に乗って祖母の家まで出かけたことを思い出していました。
自宅から電車で30分ほどの祖母の家まで一人で出かけた小学生の頃。キップをなくしてしまっては大変だから、手のひらにしっかりと握って、ときおりキップが掌のなかにあるのを確認しながら電車に乗っていました。電車に乗る事に慣れてきて、なくさないはずだからとポケットにキップをしまうようになって、キップをなくしてしまったこともありました。駅員さんに事情を説明して、私は駅の外に出ることができたけど、この物語のような冒険が私に待ち受けていたら?
池澤エッセイの中で何度も主張されていた「汽車は特別な乗り物」感が、この物語の中でいきていて、懐かしくて面白かった。